「朧月」

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「朧月」

 それからしばらくして、神谷家で婚儀の礼が静かに執り行なわれた。  満月の浮かぶ美しい夜。月明かりに庭の紫陽花も二人を祝うかのように、その夜露を光らせていた。 「綺麗でござるよ。薫」  薫の母親が遺した白無垢に身を包み、とても感動的な美しい儀式となった。  一年後、二人の間にとても可愛い男の子が生まれ、また新しい歴史が神谷家で始まっていく。 「ねぇ。剣心。覚えてる?貴方があの日、すごく緊張しながらも告白してくれたわね。とても嬉しかったのよ。そして剣路が生まれ、弥彦も燕ちゃんと。左之助は……何をしてるのかしら。うふふ。何にも変わってないわ。何もかも、昔のまま」 「…ねぇ、…聞いてる?寝ちゃったのかな?」 「剣心。有難うね。…愛してるわ。ずっと、一緒に。このまま」
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