Runo。

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「そいつはエコー、だな」 街で一番大きな屋敷。 お抱えのメイドやらが沢山いるその屋敷に住んでいるのは、腐れ縁な親友のヴァルトだった。 「いや、確かに『ルノ』って名乗ったんだよ?」 彼は街一番の資産家であるが、そのほとんどを魔法や幻獣、神話などの研究に回す変わり者だ。 「エコーは妖精ニンフの一種。元々はお喋り好きだったけれど、とある理由で呪いをかけられ相手の言葉を繰り返す事しか許されなくなってしまったんだ。大方、『~るの?』とかお前が聞いたんだろ」 あの時なんて言ったのかは覚えてないけど……そう言われてみれば、確かにルノは僕の言葉を繰り返すだけ。 自分から何かを喋った事はなかった。 「しっかし、エコーが人前に姿を現して、しかも懐いてくるなんて相当珍しいぞ。ここは一つ、解ぼ……いや、少し研究させてほしいなぁ」 さ、とりあえずヴァルトの馬鹿な発言は無視するとして。 確かに、出会ったあの日からルノは僕だけに懐いていた。 ふもとの街まで送り届けるつもりだったのに、彼女は僕の服の裾を掴んだまま離さないんだ。 今だってそう。 「………」 僕の後ろには、怯えるように震えるルノの姿。
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