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最悪だ。
ヴァルトの屋敷を出た僕らを待ち受けていたのは、怪しげな黒マントの集団だった。
「お待ちしていましたよ。ああ、生きているエコーなんて初めて見ました」
その中心にいる人物。
一人だけ、黒マントに金の刺繍がしてある男。
そいつがさっき話していたブラルカだと認識すると同時、自然と動き出す足。
「……逃げるぞ、ルノ」
何が起きたか分からず混乱するルノを小脇に抱えて、僕は走った。
屋敷に逃げ込めば良かったんだろうけど、あまりにも突然の出来事で冷静さをなくしていたんだ。
「まったく、手を煩わせるガキだ。手筈通り、あの廃墟に追い込みなさい」
こうして、ブラルカと僕らの鬼ごっこが始まった。
……始まってしまった。
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