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和志はにかっと笑って
吉以の肩を叩く。
吉以は座り込んでしまって、
その表情を見る事はできなかった。
静まり返った店の中で、
やがて、嗚咽が聞こえてきた。
声をなんとかかみ殺そうとしながらも、もれてしまう泣き声。
吉以は泣いていた。
和志が耳元で何かをつぶやいた気がした。
吉以は一瞬驚いたように
顔を上げ、和志を見た。
俺の怒りは
能天気なこのバカによって
気付けば消えていた。
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