偽りの仮面 ~put on a mask~

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▼ 朝が来た。 私にとってこの上なく憂鬱な朝が、来てしまった。 別に何か行事があるってワケじゃない。 単に、また新しい一日が始まるのだと思っただけだ。 思って、気が滅入っただけだ。 あぁ、今日もまた、何も変わらぬ一日が始まるのだな、と。 窓から射し込む、今日の始まりを告げる朝日が、叶うなら殺してしまいたいくらい憎たらしかった。 私は渋々ベッドから起き上がり、タンスから真新しい制服を取り出し、着替える。 山吹色のブレザーに、赤いチェックのスカート。 先日入学したばかりの、新しい高校の制服だった。 鏡の前に立つ。 片口で切りそろえた、薄い茶髪のショートヘアをした小柄な少女――――寝ぼけ眼の自分の姿が映り込む。 微妙に寝癖が付いていたので、軽く櫛を入れておいた。 「ハァ……」 櫛を置き、大きなため息を一つ。 これからリビングで、両親と共に朝食を取るのだと思った途端、自然とそれは漏れていた。 胸の中に渦巻く靄(もや)。 その嫌なモノを無理やり振り払い、昨晩きっちり中身を点検しておいた鞄を抱え、私は部屋を後にした。
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