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髪は黒く、角は隠れ、金色の瞳は黒く染まり、着物を身に着けた小さきモノは、どこをどう見ても人間の少年にしか見えない姿になっていた。
少々、常と異なるのは緋袴を履いている為、見ようによっては少女に見えない事もない点であろうか。
早い話が可愛らしく化けた。
(……いや、顔つきは変わらぬから、素か)
「何惚けてんだよ」
思考を断ち切る、遠慮の無い声。
「……何をしたら、そう見事に化けられるかと思うてな」
黒い瞳が瞬く。
「は?何言ってんだ?人の姿を模せと、血を与えたのは巫女だろうが」
今度は呆れ混じりに返される。
その回答が、目の前にいるモノの正体を判然とさせた。
「うぬは、護鬼か」
護鬼
代々伝えられる、御影石に眠るモノ。
五百年前、祖に当たる大巫女を護りし
鬼
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