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杜は、静けさを取り戻していた。
邪気に反応して四散していた鳥が樹々に戻り、賑やかには程遠くとも鳴き声を上げ始めていた。
全ては何事も無かったかのように。
今迄はそうだった。
巫女に任ぜられてから、杜には依頼や血族だけでなく……数多くの邪が訪れて来た。
後者は明確な殺意と共に。
それら、招かれざるモノの抜け殻を片付けるのは杜の役目。
玉砂利が淡い光を放ち、邪妖が消し飛んだ跡を清めてゆく。
ここまでは、今迄どおり。
沈黙が、辺りを支配する。
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