【我が花】

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雅が九煉家に来たのは、 9月後半の木々が漸く紅く色付き、 綺麗に紅葉しだした秋の季節だった。 夏の暑さも取れて、 涼しさを感じる風が、 大気を包むようになりだした ……そんな季節。 それを楽しむように 屋敷の縁側を歩いていると、 琴と三味線の音色が優しく奏であい、 優雅な時間を刻み込んでいく。 弦が震えるたびに、心が和む。 どうやら、奥の部屋では 女達が習い事の真っ只中らしい。 秋の紅葉に彩られた庭先に出て、 景色を楽しみながら、 屋敷庭内での散歩の最中、 廊下から、親父達の後ろを着いて とぼとぼと歩いてくる少年の姿が見えた。 屋敷の景色を目に取り込むように 視線をさ迷わせている。 落ち着きがないのか、 緊張してるのか……、 あぁ~、違うな……。 あいつの場合、 そのどっちもっぽい……。          
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