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この頃の亜子にはいつも連れて歩いている人形がいた
ゴム製の赤ん坊の人形で横にすると眠ったように目を閉じる人形だ
亜子はチイちゃんと呼んでいた
とても寒い冬の日
亜子は石油ストーブの前に人形と一緒に座っていた
「チイちゃん、あったかいね」
火は危ないものとはまだ知らない
暖かいものだと亜子は思っていた
「チイちゃん、のどかわいたからお水とってくるね」
亜子は立ち上がり台所へスキップしていった
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