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夕焼けが綺麗だ
長崎の片田舎の小さな家では昼間から酒盛りが繰り広げられていた
この日はナルの二十一周忌だ
慎二が妹である亜子のグラスにビールを注ぐ
「二十一年か…思い出した…俺おまえの事バイ菌よばわりしよったな」
「そうばい、まったく…だからナルの優しさが際立ったもん」
「お前がコクってたらナルはまだ生きてたかもな」
「は?7歳なったばかりのあたしに何を求めるとよ…好きだとか…わかるわけなかやろう」
しばらくの沈黙の後二人は同じタイミングでぬるくなったビールをうつむきながら飲み干した
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