565人が本棚に入れています
本棚に追加
「包囲か…そりゃ、俺だって嫌だな。」
祥太が笑った。兵士達も、つられて笑った。
「そう言えば、私は最初の上陸作戦で負傷したのですが、あの時、敵は騎兵ばかりで攻めてきました。曹丕様、騎兵にはお気をつけください。」
ある負傷兵が曹丕に言った。
「騎兵…包囲、ん…まさか。」
「どうなされましたか?」
何かを思い出した祥太は、その場に立ち尽くした。
「ハンニバルだ…孫策軍は、ハンニバルの戦法を使う気だ。」
祥太は、それだけ言うと、張遼の元に走っていった。途中で、暇そうにしている兵士を見つけると、武将達を呼ぶように指示をした。
「何故、思い付かなかったんだ。もし、孝彦がハンニバルの戦法を狙っているなら、急いで進軍しなければ。敵に訓練の時間を与えてはならんな。」
孝彦が訓練を始めてから、すでに三日が経過していた。しかし、祥太は孝彦がもっと訓練をしていると予想した為に、慌てた。
こうなると、時間との勝負である。孝彦が訓練を完了させるか、祥太が到着するのが速いか…
「張遼よ!居るか!」
しかし、誰も居なかった。
「くそ!張遼!誰か、張遼を知らないか!」
祥太は力任せに叫んだ。
「張遼様なら、先程、出ていかれましたが。」
最初のコメントを投稿しよう!