プロローグ

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プロローグ

世間では、ゴールデン・ウィークをどうやって過ごすかが話題となっている頃、 「まさか、こんな事になるなんて…」 呆れた顔をした孝彦がいた。 「いや、ほら、準備に熱中しすぎてさ。」 必死に言い訳をする祥太。 「まさか、この準備の為に、赤点で、春休みを補習潰すとは。」 「ごめんって。まあ、あれだ。」 「とにかく、無事に進級出来て良かったよ。」 孝彦が皮肉混じりに笑った。 二人が言っている準備とは、三国志を題材にしたカードゲームの事である。二人きりの時に、このゲームを始めると、実際の戦場に飛ばされるという、不思議な事が起きるのである。二人は今までに三回戦いに、孝彦が一勝。祥太が二勝となっている。 「連敗を止めるには、やっぱり彼しかいないな。俺は孫策で勝ちに行くぜ。」 小覇王・孫策。孝彦が最初の対戦で勝利を掴んだ武将である。 「なるほど…なら、俺は曹丕を選ぶしかないな。」 曹丕とは、最初の戦いに破れた曹操の息子であり、魏の初代皇帝である。 「父親の敵討ちってか?」 「それを活用すれば、兵士の士気は高まるはずさ。」 「ただ、呂布がどうなるか気になるね。」 孝彦が話した。 「まあ、俺の味方で出てくるさ。」
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