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【3日目】
ベッドに転がり飽きた俺は、松葉杖を握り
こっそりと外に出る事にした。
病院を裏から出ると、
近くに土手がある。
俺は松葉杖を不器用に進めて、
草が被い茂る土手を掻き分ける様に進んだ。
「病院の空気よりかイケてるぜ。」
髪を掻き分け、川の前に出ると、
水面がきらきらと輝いている。
普段なら何とも思いはしない俺も
病院暮らしの現在、外で見るモノ全てが楽しくて、美しく思えた。
「しっかしよ~…まだ3日も経たない内に
こんなに嫌気さしちまってたら、1ヶ月なんて持たねぇよなぁ…」
俺は一人で呟きながら、年寄り臭く
よっこいせ…と土手に腰を下ろす。
どれくらい時間が経ったのか…
はっ…と顔を上げると、
土手から立ち去る青年の姿があった。
ね…寝てたのか?俺…
取り敢えず顔を上げる前に口元を拭って(涎垂らしてねぇか確認な)ゆっくり立ち上がった。
「あいつ、さっき迄ここにいたのか…?」
青年は、病院の方へと間もなく姿を消した訳だが…。
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