1公演目~シーン1~

3/14
前へ
/390ページ
次へ
私は豊岡が通う大学に足を踏み入れた。 広がる芝生、真っ白な校舎、笑顔で行き交う学生たち。 ここに来るために家を出るときは、明け方にそうしようとしたときの恐怖や不安を感じなかった。 まるで日常生活の一部のように、私は玄関でしまい込んでいた靴を履き、ドアを開けて外にでた。 ふじわらが先に出て、待っていてくれた外に。 三年振りの外の世界は、もう日が昇り明るくなっていて、ふじわらのレモン色のTシャツが、とびきりまぶしく見えた。
/390ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25161人が本棚に入れています
本棚に追加