1公演目~シーン1~

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「すみませぇん」 いつもよりワントーン高い声を作る。 「はぁい」 グレー……いや、汚れてしまっているけれど元々は白かったであろう壁と、乱雑に漫画が並べられた木製の本棚の前に置いてある、背もたれの折れた椅子に座った男が、表紙が破けた漫画を読みながら、面倒くさそうに返事をした。 「サークルに参加したいんですが……」 そういうと、さすがにぞんざいに扱うわけにはいかないんだろう。やっと漫画から顔をあげ、男は私を見た。 「はいはい……あ!参加ね?何回生?」 途端に、目の色が変わり、打って変わって男はにこやかに対応し始めた。 覚えてる。 クラスのかわいい女子にだけは向けていた、この目。 私に向けていたのは、いつだって蔑んだ目だった。 久しぶり、豊岡正史。
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