1公演目~シーン1~

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「うっそー!まじで!?理奈ちゃんみたいなかわいい子にそんなの言われたら、本気にしちゃうよー?」 豊岡の顔が少し赤くなり、口元がゆるんでいる。 単純なやつ。 不細工にこんなこと言われたら、すぐにオエーだとかキモイとか言うくせに、かわいい子に言われたらすぐ真に受けて、こんなに舞い上がってしまうのか。 私はパンプスに隠れている足の親指にグッと力を入れ、苛つきに耐えた。 「私、一度この部屋の前で豊岡くんを見かけてから、気になっちゃって。よかったら、アドレス交換してくれないかな?」 ふじわらにデコレーションしてもらった爪を触りながら、上目遣いにお願いしてみる。 「いいよいいよ!大歓迎!じゃあ、俺が送るね」 赤外線で豊岡のアドレスを受信し、自分の分も送信する。
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