25161人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと、相川理恵!」
感心しながら鏡を眺めていると、背後から怒りの声が聞こえた。
「あっ、ごめん」
待ちかねたふじわらがやって来たのだった。
「メールしてから何してたのさ。遅いから心配したよ」
ふじわらのおでこには、うっすらと汗がにじんでいる。走ってきたのかな。
「ごめんね、私すごく変わったなあって思って……」
そう言うとふじわらの顔に表れていた不機嫌はすぐに消えた。
「だろ?俺の特技だからね」
トントンと、すべすべになった私の頬を人差し指でつつき、満足げに笑った。
「じゃあ、いくよ」
ふじわらが向き直って歩きだしても、頬にくすぐったさが残っていたので、私は化粧が落ちない程度に、そこをこすった。
最初のコメントを投稿しよう!