新人家庭教師と引きこもり女子高生

2/36
401人が本棚に入れています
本棚に追加
/280ページ
  「あらきあきら?……フザケた名前だな」  新木洸。  それは、ボクの名前だ。  何処にでもいそうな、特徴の無い平凡な大学一年生。  それがボク、新木洸だ。  そして、そんなボクの名前に失礼な事 (本当に失礼だ、全国のあらきあきらさんに謝れ) を言っているのは、目の前の黒いソファーに座る、見た目ヤのつく自由業な男。  オールバックの金髪に、派手な色のスーツ姿。  絵に描いたような安っぽい、ヤのつく自由業な姿。  はたから見れば、ヤミ金に手を出したおバカな学生が、恐喝まがいの返済を迫られてるように見えるだろう。  ボクが他人なら、まずそう見る。  生で、ミナミの帝王を観ているみたいだ。  だけど、この目の前の〈ミナミの帝王〉は今日からボクの上司であり、雇い主なのだ。  家庭教師ステップ。  それが今日、ボクが面接にきた事務所の名前。  そして目の前に座ってるのは、この事務所の社長だ。 「お前さんの両親のネーミングセンスを疑うとこだが……まぁそんなこたぁ、どうでもいい」  人の名前と両親のネーミングセンスにケチをつけておいて、どうでもいいとは失礼にも程があるがこれからの社会的関係上ボクは口を挟まない。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!