序章

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「今回の依頼はある人物の奪還をしてもらいたい。」 リビングに入り、ソファーに腰を掛けるとすぐにスーツの男は言った。 「依頼料は?」 台所でインスタントコーヒーを作りながら結城は聞いた。 「三百万。前払いで百万渡す。」 「将来有望な政治家にしては少し安い依頼料だな、朝田。」 「君と僕との関係だ。少しくらい割引してくれてもいいと思うが?」 リビングに戻って結城はスーツの男、朝田の前にあるテーブルにコーヒーを置いた。 そして朝田の向かい側にあるソファーに腰を掛け、テーブルに置いてある煙草を取り、火を着ける。 「お前がオレに持ってくる依頼だ。命の危険があるから、いくらなんでも安すぎる。」 煙草の煙を吐き出しながら、結城は言った。 「ならば五百万。それ以上は上げられん。」 出されたコーヒーを一口飲み、朝田は答えた。
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