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「……お…」
まだ、耳にはっきりと残っている
あのハルカの悲痛な声
『ごめんね』と何度も何度も呟くハルカの綺麗で、透き通った声
ハルカのせいなんかじゃないのに…
どうして、
帰って来てくれない…?
「…り……ぉ…」
あんなことになったのはしょうがないことで、俺は別に怒ってなんかないし、ハルカを咎めようだなんて思ってもいない
生きている
それだけで充分
だから気に病むことなんて、何一つないのに…
「理緒っ!理緒ってば!聞いてるの?」
「ん?…ぇ?」
突然耳に入ってきた大きな声に現実に引き戻された
俺の前にはいつの間に来たのか、葵の席にこっちを向いて座っている空が…
「やっぱり聞いてなかったでしょ?もう、理緒はぁ」
「え…と、何の話?」
葵は空に自分の席を追い出されたようで、隣の席の椅子を引っ張って(掻っ攫って?)くるのが見えた
知佳は大人しく空の隣に立って、俺たちの会話を聞いている
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