15

3/38
3306人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「……お…」 まだ、耳にはっきりと残っている あのハルカの悲痛な声 『ごめんね』と何度も何度も呟くハルカの綺麗で、透き通った声 ハルカのせいなんかじゃないのに… どうして、 帰って来てくれない…? 「…り……ぉ…」 あんなことになったのはしょうがないことで、俺は別に怒ってなんかないし、ハルカを咎めようだなんて思ってもいない 生きている それだけで充分 だから気に病むことなんて、何一つないのに… 「理緒っ!理緒ってば!聞いてるの?」 「ん?…ぇ?」 突然耳に入ってきた大きな声に現実に引き戻された 俺の前にはいつの間に来たのか、葵の席にこっちを向いて座っている空が… 「やっぱり聞いてなかったでしょ?もう、理緒はぁ」 「え…と、何の話?」 葵は空に自分の席を追い出されたようで、隣の席の椅子を引っ張って(掻っ攫って?)くるのが見えた 知佳は大人しく空の隣に立って、俺たちの会話を聞いている .
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!