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「なっ、なんだ?」
「わからない……」
光は人の形になり、一人の老人の姿になった。
白髪混じりの黒髪と黒い眼をした老人は、シン達を見て口を開いた。
「ルシファー様にリリス様、私は地獄の使者バールと申します。」
「僕の名はシン・アルスロードだ。」
「私はレナ……」
シンとレナはルシファーとリリスという言葉に過剰に反応し、即座に訂正する。
「ではシン様とレナ様に申し上げますが、現在地獄にいる悪魔達が一人の少女により瀕死状態にされています。」
「なんだって!?」
シンはバールの言葉を聞き、思わず声を荒げた。
「ベルゼバブを始めティアマトや他の悪魔達まで……止まる様子はありません。」
「もう争いは起こさせないと誓ったのに……原因はなんだ。」
「ベルゼバブが魔力を狙ってその少女を殺そうとしましたが返り討ちに遭い、それを見ていたティアマトが率いる悪魔部隊が少女の抹殺を決行………しかし再び返り討ちに遭い部隊は全滅、多くの悪魔が戦闘不能になりました。このままでは少女は悪魔を全滅させる勢いです。」
「ベルゼバブ、なんでそんな馬鹿なことを……」
シンはベルゼバブの行動を愚かしく思い、深く溜め息をつく。
「このままでは悪魔の血が途絶えてしまう……」
「どのくらいの犠牲が出たんだ。」
「いえ、まだ一人も殺されてはいません……何故か少女は悪魔を殺しません。」
「……そうか。」
シンは安堵の溜め息をつくと、暫くしてバールに提案する。
「その少女、なんとか説得できないかな。」
「正気ですか!?奴は悪魔の敵ですぞ!!」
バールはシンの決断に驚きを隠せず、シンはそれでも決断を変える様子はない。
「だったら悪魔達は惨殺されているはずだよ、でも少女は悪魔を殺していない。」
「自分の身を守っているだけかもしれない……」
「そうですか、では共に来てもらいましょう。」
バールは、シンとレナを連れて地獄に転移した。
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