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「……リアか。」
「ソルガさん……」
リアは返り血を浴びたソルガを、ただ呆然と見ていた。
ローブや手、更には顔まで返り血で真紅に染まっていた。
「……全てを浄化する紅き光、舞い降りし時辺り鮮紅に染められん。
光は更に紅く染まり、その姿正に鬼神のごとし………
古い伝承に残っていた論文です……ソルガさん、力を使いましたね。」
「許せ……これが血に染められし道、邪を滅ぼす者の宿命だ。」
「一人で抱え込む必要はないと思います、今はルナさんも……皆も……私もいます。」
「……心遣い感謝する。」
「私には……全てをくれたソルガさんしかいませんから……」
「いいのか、他の奴も見ている中で言っても。」
「……?」
リアが後ろに振り向くと、背後にはルナ達が立っていた。
「……相変わらず死体は残さないのね。」
「ああ、周りに不快感を与えるからな。」
ルナの残酷にも聞こえる言葉に、ソルガは平然と受け答える。
これが“邪を滅ぼす者”達の本来の会話であり、普段の二人が本来の姿と別人なだけに過ぎないだろう。
「……っていうか死体なんて残りませんね。」
「強すぎる力……滅びの力……」
シンとレナも、滅びの力に思わず背筋を震わせる。
「で……いつになったら寮に戻るんですか?」
「そろそろ戻るか、風呂にも入りたいからな。」
ソルガ達は、未だ血の匂いが残る闘技場を後にした。
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