6565人が本棚に入れています
本棚に追加
「……おかしい、俺の計画と違うぞ。」
「せめて三人は増えてほしいよ。」
「三人……無理難題ね。」
ソルガとシンの会話を聞いていたルナが、厳しい言葉で現状に追い討ちをかけた。
「ルナさんやソルガさん目当てで来る人はいますが……」
「覚悟がないですね。」
レナとフィアの言葉もごもっともである。
今まで入部希望を出した者に、覚悟がある者など殆どいなかった。
「フィアに後ろから近づくなっていう看板をかけたほうがいい、今まで二人が後ろから近づいて吹き飛ばされたからな。」
ソルガが心を読んだなかで、二人だけ覚悟ができていた入部希望者がいたのだ。
しかし背後から近づかれたフィアは気配を察知し、振り向きもせずに希望者を尻尾で吹き飛ばし、希望者は怖くなって逃げてしまった。
「すみません、でも後ろから近づくのは失礼ですよ。」
『だったらその長くて危険な尻尾を振り回すなよ、見る人の好奇心を試す気かよ……』
「とにかく、魔法大会までまだ1ヶ月ありますよ。」
「時間はまだあります……」
「今から入部希望者を探さなくてもいいでしょう、私はそう思うわ……」
「すぅ……すぅ……」
そう、魔法大会の開幕まで、まだ2ヶ月近くあるのだ。
リアに至っては無駄だと思っているのか、壁に寄りかかったまま寝ている。
「……わかった、気長に待とう。」
皆に非難されたソルガは、仕方なく部屋に戻ろうとするが……
「僕は入部しますよ。」
突然ソルガの背後から、男の声がした。
最初のコメントを投稿しよう!