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「ねえ、あなたハンターにならない?」
そう、全てはこの一言から始まった。
買い物からの帰り道。家の前につこうとしていた俺に、見覚えの無い女が話しかけてきた。
顔は……まあ、美人の部類に入っていたのだろうが、俺は目の前にいる女の出で立ちに目がいっていた。女は全身を覆うように、鎧を纏っていたのだ。
これは知っている、人外の化け物――モンスター。そのモンスターを狩ることを生業とする者達、通称。そして、女が身につけていたものこそ、《ハンター》達が使う防具だった。
「あー……悪いんだけど、誰かと勘違いしてない? 俺はアンタと面識が無いはずなんだが……」
初対面の相手に少々無礼かとも思ったが、女が完全武装していることに、俺は少なからず警戒していた。俺の家がある通りは、路地の裏にあり、今の時間人通りはほとんどない。
「他を当たってくれないか、これでも俺は忙しいんでね」
別に用事など無かったが、いやな予感を感じた。俺は早々に話しを切り上げようとしたが、女は俯(うつむ)き、ブツブツと独り言を喋りはじめた。
「んーめんどくさいなー、こういうのは私のしょうにあわないんだよねー……やっぱロンにやらせれば良かった」
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