--俺がハンターになる?--

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 内容がダダ漏れだ。女のマイペースさにうんざりしてきた。もう少し俺の気持ちも考えて欲しい。あと人の話を聞け!  そう思っている間にも、女は喋り続ける。 「あのときグーを出しとけば……あー! もういいや! 報告通り素直じゃなさそうな子だし、私流(わたしりゅう)にやるとしますか!!」  女は、パッっという勢いで顔を上げ、俺を見つめた。  俺は、マイペース過ぎる女の行動と、言葉の中にあるわずかな見下す言い方に我慢が限界を迎える。 「おい! アンタいいかげ――」  次の瞬間、俺は二の句がつげなかった。首筋にひんやりと冷たいモノが当てられる。一瞬遅れて『ヒュンッ』という風鳴りと共に、勢いのある風が髪を揺らし通りすぎて行った。  俺の首筋に当てられていたモノは、女が背負っていた剣だった。形は細身の大剣だろうか? 反り返った片刃は武器にもかかわらず、まるで美術品のようにかがやいている。  だが、注目すべきはそこではない。この女は、長さは自分の身長以上、細身とはいえ相当な重量があるであろうこの大剣を、目視出来ない速さで正確に俺の首筋に当てたのだ。しかも片手で! (化け物め……)  俺は冷や汗が体中から吹き出してくるのを感じた。そして、人生初の命の危機という、出来れば一生したくなかった経験をさせてくれた女は、猟奇的な笑みを浮かべこう言った。 「もう一度言うわよ。ねえ、あなたハンターに成らない?」
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