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物見の兵士達も集まった中、原田が皆に宣言する。
原田「これから一気に鹿沼まで走るぞ!殿には前野と粕谷で遅れるのが出たら引きずってでも、みんなで鹿沼に戻るぞ!」
皆「おぉ~!」
原田「安富君、殿だった連中から急いで出立だ!
新選組二番隊の二十五人と前野、粕谷は俺と殿だ!
中条も残りの隊士と壬生藩士や宇都宮藩士と先に行け!」
安富「原田さん、無茶はしないで下さいよ!」
中条「隊長、承知しました。」
安富達も中条達も鹿沼に向かって足早に歩き出す。
先頭の安富達は見えなくなり、中条達も居なくなった時に宇都宮から来た西軍の先陣百人が現れた。
原田「良かったな、新式の鉄砲で粕谷達が来ていて。」
前野「そうですな!」
粕谷「隊長、号令を!」
原田「へへへぇ、俺もやりたかったんだ。
よし、銃隊散開。
敵が射程に入るまで待て!」
西軍の二十人程が射程圏内に来る。
原田「よし、撃ち方始め!」
「パン、パン!」
新選組の射撃に一旦進撃を止める西軍。
新選組も射撃を止める。
静かな時間。
そこに原田の大声が轟く。
原田「聞けぇ~、此より新選組が斬り込みをする!
命の要らない者は覚悟しろ!
命が惜しい者は本隊に帰って出直して来い!
俺は新選組の原田だ!二百人でも俺は止められんぞ!
新選組行くぞ!」
隊士「おぉ~!」
その声を聞いた西軍は、宇都宮藩士や利鎌隊を含む兵士達であり、最近の新選組の活躍で現実以上に新選組を怖れている西軍の空気を反映していた。
兵士「新選組が斬り込みを?」
利鎌隊士「何だってそんな怖ろしい奴らが斬り込みをかけて来るって?」
ざわめき、尻込みする兵士達の態度に隊長格の広島藩士は進撃を躊躇していた。
原田「新選組、突撃!」
隊士「おぉ~!」
遂に新選組は突撃した!
銃隊の半数は銃撃してから走る。
銃撃が終わった時に、手槍を持った原田や白刃を抜いた前野達が雄叫びを上げて斬り込む!
西軍の先頭の兵を原田が蹴散らす!
西軍の兵は算を乱して後退して行く。
原田「みんな、深追いはするな。
これから鹿沼へ急いで行くぞ!」
原田達は一人の死者も無く、素早く鹿沼へ向かった。
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