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信濃口から越後へ侵入した西軍混成部隊の陣容は、戸田松平家松本藩の六百が先鋒で、次が藤井松平家上田藩五百。
三陣に内藤家高遠藩三百。
後陣が真田家松代藩九百。
松本藩も上田藩も、藩論の統一が必ずしも成されないままに西軍の信濃到着で西軍に恭順、西軍側に参戦したのが実状であった。
三陣までの兵は、新井に到着しようとしていた。
松本藩も上田藩も偵察を出して、東軍の散漫な布陣を確認していた。
東軍の陣地では、やっと河井率いる軍勢八百が後方から到着して合流した。
西軍の偵察は、この東軍の新たな動きをまだ把握していなかった。
松本藩兵が新井の野に、陣を布いた。
次に上田藩の兵も隣りに陣を布いて、三陣の高遠藩は松本藩の後ろに陣を布いた。
松本藩の陣地。
藩兵「上田藩の隊長が御到着です。」
松本藩隊長「おぉ、通せ。」
兵士に案内されて入って来る上田藩の隊長。
上田藩隊長「早速で御座るが、あの敵方の布陣をどう見ますかな?」
松本藩隊長「おぉ、やはり貴殿もあの布陣を見られましたか?東軍は戦意の無い高田藩と寄せ集めの兵のようですな。」
上田藩隊長「敵兵は千人程しかいないとの事。我が藩と松本藩、高遠藩で千四百おります。
真田殿の兵が到着するのを待っていては敵の援軍が来るやも知れず、今ならば我々だけでもあの程度の輩、負けはしないで御座ろう。」
松本藩隊長「うむ、我が藩も真田殿と違って、西軍についたのは城下に西軍が来てからで、貴藩では藩主の忠礼公は幕府寄りの御方、我々が手柄を立てなければならないのは一緒ですな。」
上田藩隊長「さよう、忠礼様は幕府に殉ずると決めていたのですが、西軍到来で恭順したのですからな。
では、高遠藩にも話しをつけて攻めましょう?」
松本藩隊長「異存御座らん。」
高遠藩にも伝令が行き、三藩の兵で攻撃する手筈は整った。
先ず松本藩六百が大砲三門を先頭に押し出して行く。
その右隣りには、上田藩五百が同じく大砲三門を先頭に押し出して行く。
松本藩の後方から高遠藩三百が大砲二門を先頭に、松本藩兵に続いて行く。
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