越中口緒戦

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騒然としていた湊に東軍の早馬が二騎表れた。 二人は湊の高田藩士に船の支度を頼み、沖の軍艦への使いである事を告げた。 二人のうち一人は新井に派兵された江戸藩邸の高田藩士で、湊の藩士達に西軍の敗走ぶりや、東軍の川口での勝利の話しを船の支度が出来るまで語っていた。 湊の藩士達は、沖の軍艦が使者を待っていてこれから糸魚川や越中口に行く事を聞いて胸をなで下ろすやら、安堵していた。 二人が船で軍艦に行くのを見ながら、自分達がこの先どうなるかの不安は隠せないでいた。 高田藩士「東軍が優勢じゃが、お殿様や重役方は川上殿の言う尊皇に傾いておるとか。」 同僚藩士「それに舅の前田様の家臣が越中口から攻めて来ようし、どちらにしても頭が痛い話しであろう。」 高田藩士「何にせよ、家中の者同士が敵味方になるのだけは御免被りたいの。」
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