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「えー…とですね。お二人が同時刻に死ぬ事は、元々決まっていたんです。普通、死神の通り道を見ることができるのは本人だけなんですが、ちょっとした手違いで……」
お互いがお互いの『道』を見てしまった、らしい。
そう説明してくれたのは、死神のお姉さんだった。
「……でも、俺は提灯を動かしたんだぞ?」
そうさ。
俺は確かに静音の提灯を……。
「ええ、確かに貴史様は静音様の提灯を動かしたんですが…」
お姉さんはチラリと静音を見た。
「えと、静音様も貴史様の提灯を動かしてまして」
……へ?
そういえばあの夜、静音がジャージ姿で軍手をつけて、家の前にいたっけ。
「結局、お互いの提灯を入れ替えただけ…という形になってしまった訳です、はい」
ぽかん、とする俺たち。
二人の間で苦笑いする、鎌を持った女性。
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