双つの約束

2/11
前へ
/78ページ
次へ
 今から約十二年前。私とコウが五歳の頃だ。この頃私は世間でいう“おままごと”にはまっていて、コウはよく私の相手をさせられていた。 「はーい、コウ。ごはんですよ」 「うん、ありがとー」  食事は草や泥をおもちゃに盛り付けたもの。ゴッコなのだから、そんなの当たり前なのだが、今思うとすごく恥ずかしくなってくる。 「ごちそうさまでしたー」  口を揃えてそう言う私たちは、周りの人たちからは微笑ましく見えたらしく、いつも公園では近所のおばちゃんやおじちゃんに大人気だった。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加