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あれ以来、少女はよく店を訪れるようになった。
いつものんびりな店主と話していると落ち着くのだ。
いつ来ても店主は変わらずそこにいた。
たまに不定期で店が閉まっている時もあったが、少女が大人になっても店はそこにあった。
今日も彼女は店を訪れていた。
他愛のない話しをしていると、店主はふと興味がわいたといった感じで彼女に尋ねた。
「もう社会人になった頃かな?」
彼女はふるふると首を横に振った。
「服飾の専門学校在学中です。ここに憧れて」
彼女はいたずらっぽく笑った。
「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」
店主はホントに嬉しそうに笑う。
「卒業後の就職先とかはもう決まってる?」
店主は目をキラキラさせて彼女に聞いた。
彼女が軽く苦笑してまだですと言うと、店主は今まで見たこともないような満面の笑みを浮かべた。
「卒業まででも良いからうちで働いてみない?」
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