第八章 fantome manipuler

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勢いよく後ろに下がって距離をとる。 少しミスをすれば死んでしまう攻防を繰り広げて、息があがってしまう。 対してケルベロスゴキゴキと腕を鳴らして調子を確かめている。息はあがってない。 出口はあるのに、倒さないと通れないという状況に、焦ってしまう。 それでも、必要な情報は頭の中に入っていて、ある一つの倒しかたが導き出された。 「終わりだよ。ケルベロス」 「あぁ?」 ケルベロス自身でも気づいていない弱点。それは、  我を傷つけようとする霊気よ、霧散せよ そのちょっとした呪文だけで、ケルベロスは爆発し、粉々になり、霧となった。 そう、その身体は霊気によってつくられたものなんだから。 雪のように降ってくる霊気の中、僕はミールの手を掴んで言う。 「帰ろっか?」 ミールは笑顔で大きく頷いて、僕達は手を繋いで出口を通った。 こうして僕の能力――霊気操作(ファントム・マニピュラー)の修業は終わった。
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