第八章 fantome manipuler

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――僕は一歩踏み出した。 ……何も起きない。 「何か精神的にすっごい疲れた……」 『こらこら、まだ一歩だよ~がんばれ~!』 ミールの言う通り、まだ一歩だ。やることがたくさんあるのに。 まず自分の能力の本当の力を探す。次に出口を探す。 それだけのこと、だけどとても遠くとても難しい。 また一歩、また一歩とゆっくりと歩いて、足場の問題はとりあえず問題はないと判断した。でも、 「これじゃあ、山の中を遭難してるのとかわらないよ」 『………コンパス貸してあげる?』 僕はミールなりの優しさを丁重に断った。地図もないし現在地がわからないし、そもそもここが地球なのかもわからないのに、コンパスを渡されても困る。 「とりあえず、あっちに行ってみようか」 指差した先は、やっぱり霧で見えない。でも、ミールの手を引いて僕は歩きはじめた。
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