100人が本棚に入れています
本棚に追加
春先の暖かな日差しが剣心の部屋に差し込む。
庭に置かれた桶の水にも反射した光が、障子を開けたまま眠る剣心の顔を照らす。
緩やかな風が軒先に吊るされた風鈴をチリリと鳴らす。
それに目を覚ました剣心は眩しそうに目を細めた。
「おう。起きていたか?」
左之助は薬と水を盆に乗せ、剣心の部屋を訪れた。
「左之?……薫殿は?」
「横浜まで医者迎えにって、恵と二人で行っちまったぜ。――もう眩しくないか?」
左之助は廊下の障子を閉めながら薬を枕元に運び、剣心の横に座り込んだ。
「なんか、お前の病気治してくれるっていう偉い先生らしいけど…」
「拙者の為に……」
「おう。だから早く治して元気にならねぇとな」
最初のコメントを投稿しよう!