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「歴史は変わるぜ!赤報隊と抜刀斎が天下をとる!新撰組なんざ敵じゃねぇ」
左之助は立ち上がり、拳を高々と掲げ興奮しながら語り始めた。
「なぁ剣心。だったら良かったよな」
剣心はそんな左之助に呆れたかのようなため息を一つつく。
「だが新撰組とてそんなに甘くはないでござるよ。斉藤や沖田、土方などには正直、相対したくはなかったでござるし……。やはり夢は見て楽しむものでござるな」
「げっ……斉藤一」
左之助は嫌な名前を聞いたと、急に青ざめた。
「ま、でもこうして皆んなが居ることには変わりねぇんだろうな。それが一番だぜ」
「そうでござるな」
「その為にも早く病を治して、元気になってもらわねぇとな」
左之助は茶碗に軽く盛った粥と薬湯を渡した。
「はい、でござる」
剣心の頭をガシガシと撫でまわす。
「それにお前が居なきゃ、この家の食事事情が大変なことになんだよ」
「拙者はご飯の為でござるか!」
拗ねてふくれる剣心の頬を左之助がつねった。
「冗談だ。……それに俺が一番困る……」
「え?」
「な、なんでもねぇよ!ほら、薬飲んでとっとと寝てろ!」
そう言うと、左之助は部屋から出ていった。
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