雨音。

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その日。 空は、灰色に染まった。 曇った空は眼を張り、暫くはそのままの状態を保ったが、ほどなくしてぽつぽつと雫を降らした。 ぽつぽつと少しずつ降らす様。 それはまるで我慢していた涙を少しずつ流しているようだ。 土砂降りの江戸の町。 賑やかな町だが、今日は人の影すら見当たらない。 皆、雨だから家でじっとしているのだろう。 それ故に、人通りの激しい町通りには早々と店仕舞いを行ってる姿も見受けられた。
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