死神さん。

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__昔昔、江戸時代位の頃……。 一人の男旅人がいました。 ある日、旅人は泊まる場所も、宿に泊まる金も無いので、野宿をするコトにしました。 「あぁ…何か良い金儲け話は無いもんかなぁ。」 そう呟いていると。 「良いコト教えてやろうか。」 暗闇から、ふと声がしました。 「!?誰でぃ!」 旅人は驚いて暗闇の中、喋った人物を捜します。 「此処だよ。此処。」 声のした方を見ると、人が一人佇んでいました。 …でも何だか、普通の人では無いようです。 その顔は、青に近くて、しかも痩せこけていて、まるで……。 「誰でぃあんた。良いコトって何だい??」 旅人が如何にも怪しい人物に訊きました。 「私は死神ですよ。死神。」 そう平然と云ってのけた自称死神に、旅人は眼を丸くしました。 「死神だって!?おいらまだ死にたくないよ!命だけはどうかご勘弁を!!」 …まるで、死神みたいな顔に、旅人は不思議にも思わずその人を死神と思ったのでした。
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