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「なんだ、これは?!」
幼い声が響く。
その事実を認識し、更に混乱する。
美しき魔王は、混乱するデュエルを見て首を傾げる。
「わらわが造りし器じゃ」
…………………………
「……………あ?」
抜けた声しか出せない。
視線を魔王に戻すと、地に足をつけていた。
見る程に、挑発的な姿で。
「良く出来ていよう?」
……声音が、見た目とそぐわない。
子供が、子供なりの感性で仕上げた芸術品を自画自賛するかのような。
「ヌシの、その身は最高傑作じゃ」
……魔王自ら、最高傑作と言い切る。
それを信じるならば、この身は何らかの力を得たのか。
…………………………
――違う。
「なんっで、ガキに逆行してんだよ!!」
「?ヌシの思い出が、一番占めていた時間軸を切り抜いて再構築しただけぞ?」
「おも……ってめ!人の過去を勝手に見るな!!」
「ヌシの運命が見えなんだゆえの、緊急処置じゃ。激昂するでない」
言いたい事は多々あれど、異様な状況である事は確かだった。
魔界を統べる七魔王の一角たるデスティアが人間界にいる事実。
そのデスティアに、ぞんざいな口調で言い募る少年。
意識失う寸前に感じた違和感は、今や露ほども感じない。
デュエルもまた、異質なる存在になっていたから。
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