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家族は三人、母と父(と言っても義父だ)義父は建築関係の会社社長。今日はその会社の創立記念パーティーがあり、櫂も出席することになっている。
「櫂、遅かったじゃないか。心配したぞ。」
「ごめん。これでも急いできたんだよ、父さん」
会場に入るなり自分を見つけて駆け寄って来た義父。義父は厳しいが優しい人だった。10歳だった自分の事を本当の息子のように可愛がってくれた。
(~それでは皆様、しばらくご自由にお楽しみください。)アナウンスが聞こえ、みんなそれぞれ思い思いに話始めた。櫂は隅の方でそんな人達を眺めていた。
「やぁ櫂くん!」
いきなり声をかけられビックリした顔で相手を見る
「宗家さん!お久しぶりです」
「驚かせたみたいだね…すまん」
屈託のない笑顔のこの人は義父の親友の宗家 弦一郎さんだ。小さい頃からよく可愛がってくれる人だった。しばらくして宗家と別れまた一人、ボゥーッとしていた。
「君……橘 櫂くんだよね?」
「えっ!?」
驚き声の主を見る。そこには長身の黒いスーツを着た一見ホストの様な容姿の男が立っていた。
〈橘 櫂…その名前で呼ばれていたのは5歳の時までだ。なぜその名前を知ってるんた!?〉
「あんた一体…」
そう言いかけた時その男に話かける人がありその男は会場の人混みにまぎれ答えを聞くことができなかった。
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