ピロローグ

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『いかにもそうだが…。ちょっと待て!!!お前!俺の声が聞こえるのか?』 あ、あの愛しの土方歳三が私の目のまえに………ぃっ 『おい。聞いてるのか?』 土方は有貴の肩をつかんだ。 『つ、つかめる。触れる……』 土方は有貴から手をバッと離し、不思議そうに自分の両手を眺めた。 『何故だ?今まで何をしてもどんなに願っても俺の声が現代人に聞こえる事は無かったのに…』 まぢカッコイイ。 やっぱ翔なんて目じゃないよ。 本当に目の前に土方さんがいるんだ。 よ~しっ♪今のうちに…。 有貴は何を思いついたのか… 土方をいきなり抱きしめた(笑) 『女!! いきなり何しやがるッ? ちょっ…///やめろ。』 土方はいきなりの有貴の抱擁にただ混乱するばかりである。 『ごめんなさい。 目の前に土方さんがいるってわかったら気持ちが抑えきれなくなった…』 有貴は腕をぱっと離すと土方の顔をまじまじと眺めた。 現存している写真の通りの顔と服装…… 本物なんだ。 本物の土方歳三が目の前にいるんだ。 そんなことはお構いなしの土方。 土方は一本木閑門付近をキョロキョロと見回すと悲しそうな顔をした。 『ここは随分と変わったな……』 土方の言葉に有貴はハッとした。 ああ。そうだ。 土方さんは…激しい戦場の中で新撰組の仲間を助けにいくために劣勢の中進撃して、ここで撃たれて死んだんだ。 『………………。』 土方は近くにある桜の木に寄りかかった。 桜の花びらははらりと落ち続けている。 『お前に…何で俺が見えたのか知らねぇが、一つ頼みがある。 』 『え………?』 『俺を…江戸に連れて行ってくれないか?霊体ではここから出ることも叶わなかったからな。今なら外に出れそうな気がするんだ…』 土方さんを江戸に? 江戸って今でいう東京だよね…? 『…何だ?あの変な格好をしている男は?』 その時。公園内を見回りしている警察官が有貴と土方の姿を照らした。 『ヤバイッ!! この格好と顔じゃばれちゃう。本物の土方歳三が一本木閑門にあらわる!ってなったら大変な事になる。とりあえず逃げなきゃ!!!』 有貴は土方の手を強く引っ張った。 『おい!どこ行くんだ!?』 『どこって…公園の外!とりあえずここにいちゃ大変な事になるから』
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