六月の長い夜

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だって俺の成績ときたら、後ろから数えたほうが早いからだ。だから、詠詩の頭は尊敬するのに値する。SHRは、毎朝8時半から始まる。それより20分早くきて教室を清掃する『朝当番』という決まりが全学年にあった。校舎が建っている場所は、すぐ後ろが河原だった。川から吹く風が校舎を通り抜けるせいで、下校時にいくら掃除しても毎朝また砂埃が溜まっているということだから、これが厄介なことだった。朝の清掃を『朝当番』がちゃんとやったかどうかをチェックするのが、クラス委員である詠詩の役目でもあった。
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