0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
第一章 春 1
カランカラン
さして広くもない店のドアが開いた。
顔を上げて振り向くと、初めてのお客様がそこにいた。
「いらっしゃいませ!」
そこにいたのは黒い帽子、黒いコートの男だった。
こちらの笑顔に戸惑ったのか、足を止めてしまう。
「今回はどのようなお花をお探しですか?」
「もう少ししたらになると思うんだが、ブーケを一つ頼みたい。」
「ご結婚なさるんですね?おめでとうございます。どのようなブーケがよろしいのでしょう?」
彼はゆっくりと口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!