世界一位

　薄暗い部屋の中。明かりはつけずに、カーテンから漏れる太陽の光だけが、部屋を照らす唯一の光源だった。

　部屋の中はわりと広い。天井には豪華なシャンデリアが明かりも灯さずにぶら下がっており、塵一つ落ちていない綺麗なフローリングはテカテカと鈍い光を纏っている。

　その広い空間の中心で、フカフカのソファーに腰掛け、ガラスのテーブルに置かれている有田焼のお皿に盛られたコンソメ味のポテトチップスを摘む男。

　その男こそ、世界一位だ。

「カバレロ」

　世界一位は前を向いたまま言った。世界一位の前にはテーブル越しにテレビがあり、ポパイがホウレンソウアレルギーになったというニュースが流れている。

「はい」

　世界一位の背後から返事が返ってきた。その声は低く、抑揚のない声だ。