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お蘭に手を引かれ大きな屋敷の前に着いた。
「ここはまずいわ。」
そう呟くと佐吉のほうにくるりと向き返った。
「あそこの角で待っていてくださいますか。」
『あ、あぁ…』
佐吉が角に歩くのを見て、お蘭はその屋敷に入った。
『おい!入ったら…駄目じゃないのか。』
佐吉の言葉に聞く耳をもたず、お蘭は入っていった。
5分ほどしてからお蘭は戻ってきた。
「お待たせいたしました。」
なにがなんだかわからない佐吉にお蘭は続けた。
「ここは私の家です。誰にもみつからぬよう、急いで着替えをしてきました。」
お蘭は袖を広げてみせた。その姿に佐吉は頬をあからめた。
「さ、行きましょう。」
『え?』
「町にいってくださるのではないのですか?」
『あ、あぁ。』
「じゃあ早く行きましょう。」
またお蘭に手を引かれ二人は走り出した。
佐吉が思っていたより、
お蘭はおてんばで強く、意思しっかりともった気高い女性であった。
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