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『おばあちゃん、それなに?』 私の祖母が大事そうに箪笥からなにかを取り出した。 私の身長では、 腰を曲げた祖母にすら勝てない。 だから手にしているものがなんなのか、私にはわからなかった。 ただ、 光に反射しきらきらしていてとても綺麗だった。 あまりの綺麗さに、 私は一生懸命背伸びをして手を伸ばし、 お婆ちゃんから『それ』を奪おうとする。 よくよくみると『それ』の正体は鏡だった。 吸い込まれそうな赤色で、 ガラスの部分は手入れを毎日していたのか、指紋一つないほどキレイだった。「蓮ちゃん、そんな焦らないの。」 おばあちゃんは優しい、温かな笑顔で私に言った。 「大丈夫。 そんなに慌てなくてもこれは逃げたりしないから。 だってこれは蓮ちゃんにあげようと思って出してきたんだからね。」 私はそれを聞いて目を輝かせた。 「ホントに!嘘はだめだよ。」 「本当だよ。 おばあちゃんは嘘はつかないから。 ただ、 約束してくれないとあげられないんだけど、 蓮ちゃんはお約束が守れるかな。」 「もちろんだよ!お約束ってなに?」 「そう。 じゃお約束する前にある物語を話しておこうかね。」 そういいながら祖母は話しをし始めた。 鏡の歴史、 言い伝えを。
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