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昔、誰に聞いても
“村一番の美人”
と讃えられるほどの美しい娘がすんでいた。
もちろん村に住んでる男は皆、彼女に夢中だった。
しかし、ただ一人逆を行く者がいた。
佐吉だ。
佐吉は大工をしている。
女より仕事といった良くいえば真面目、悪くいえば退屈な奴だった。
ある日神社にお参りにいくために、佐吉は朝早くに家をでた。
佐吉は新しい仕事に取り掛かる日の朝一に、神社へお参りに行く習慣があった。
仕事がうまくいくように、怪我をしないように、
お参りに行くのだ。
そういうところから真面目さが伝わってくる。
神社の入口についた佐吉は頬に冷たさを感じた。
『雨か。』
空を見ながらは呟く。
だが佐吉はしっかりと傘を持ってきていた。
家を出たときに、空が怪しいのを気にしたからだ。
佐吉は雨など問題にすることもなく、神社の境内へと足を進めた。
少し行ったところで佐吉は足を止めた。
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