指先。

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凍える都会で。 ボロボロの私は。 ポロポロ涙を流してうずくまっていた。 何もかもに拒否されているようで。 よく分からない自己嫌悪と、死にたくなる疎外感を感じて。 今みたいに、道端で膝を抱えていた。 そのとき。 あたたかなココアが目の前にとびこんで、びっくりして、ぼろぼろの顔をあげると、あなたがいた。 「暖まるよ。」 そういって紙コップのココアを渡すあなたの指先のほうが、私を暖めてくれて。 ぽろぽろないて。 あなたを困らせてしまった。 今は遠い、大切なあたたかな記憶。 あの指先は・・・確かにココでふく風よりずっと。 ずっと暖かで、確かなものだった。
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