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折りたたみのディスプレイには
『長野』
の文字が表示されていた
「あっ、もしもし?いっちゃん?」
『もしもしっ!!久しぶり!!』
「そんな久しぶりでもないだろ」
『そうかぁ?もう1ヶ月くらい経ってない?』
幼馴染の親友・長野一平
「俺と離れて、そんなに寂しいんだ」
『はぁ~?それはまこだろ!』
「ははっ!で、今日はどうしたの?」
『どうしたもこうしたも、何もないけど……そろそろ、俺の声が聞きたくなるころかと思って』
「ふ~ん。学校、どう?」
『普通。知り合いが多いし』
「まぁ、そんなに劇的に変わるもんでもないか………あっ、いっちゃん、バレー、続けんの?」
『もちろんっ!えっ!?まこは続けないの?』
「迷い中」
『何で?もったいないじゃん』
「ん~、そうなんだけど…」
クシュンッ
え?
携帯を耳に当てたまま、くしゃみのする方に顔を向ける
彼女は恥ずかしそうに俯いた
髪がかかった耳が少しだけ赤くなっている気がする
『ってか、誰かといるの?』
「やっ、帰り道で、雨降ってきたから雨宿り中」
『けど、誰か隣にいない?』
「まぁ」
『何、何?怪しくない??あゆちゃんに言いつけちゃうぞ~』
「言えばいいじゃん!俺は別に悪いことしてないし」
『隣にいるの女の人?』
「まぁ」
『ふ~ん。まぁ、風邪に気をつけろよ。まこ、風邪引くと長引くし』
「お前は俺の彼女かっ!?まぁ、あんがと」
『うん、まこ、元気そうでよかったよ』
「うん………」
なんか照れる
「じゃぁ、また、連絡するし」
『おぅ!またな』
久々に聞く友の声に励まされる
なんだかんだで、毎日、変に緊張していたのかもしれない
少し戻りたいと思った
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