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親父の仕事で転勤が決まったのは、受験まであと1ヶ月の2月
また、中途半端な季節
世の中が色んな意味で寒い2月
俺の心も究極に冷え切っていた
異動事態はもちろん、3月
けどさぁ、よく考えてよ
俺には同じ高校を目指している友達がいる
飛び切り可愛いわけじゃないけど、1個下の彼女もいる
幼馴染の親友もいる
当たり前だけど、離れることなんて想像もしていなかったし
とにかく嫌だった
けど、たかだ15歳のがきんちょの俺の抵抗は虚しく、関西に移り住むことになった
漫画みたいに一人暮らしは出来なかったし、親父だけが単身赴任するにも期間があるわけでもなかったし
家族だから、やっぱり離れることは難しかった
経済的なこともあるしね
俺も一人暮らし出来る余裕なんてなかった
友達と彼女と離れるのが寂しかった
悲しかった
『毎日、連絡します』
俯く彼女
なんとなく、別れを思ったのに切り出せなかった
だって、離れることを悲しんで泣いているから
けど、遠距離で頑張れる恋人でもない気がしていた
友達とは離れても平気だと思えた
長期休みの約束
育った町だから、帰ってこようと思えば帰ってこれる
そう信じて15年間の思い出を置いて、俺を育ててくれた町を離れた
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