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「本日呼び出したのは他でもない…」
重ねられた箱の一番上で威厳たっぷりに御猫様は叫び、間を空けた。
…………ゴクリ。
集まった猫達は生唾を飲み込む。
「…………俺、勇者になるわ」
え、報告ぅっ!?
ツッコミ体質の私には、ツッコまずにおれない。
「そんな“ちょっくら魚屋行って来るわ”的な風にさらっと言わないで下さい!」
「えー…。じゃあちょっくら魚屋行くついでに魔王倒しに行って来るわ。」
言い直した!しかも前より具体的だ。
「つ、ついで…どんな雑魚ですかっ!?」
軽々しく言うからよっぽど弱いに違いない。
「や、三丁目のベスだ。」
三丁目のベス…とは、左目が潰れ、傷跡が残る、恐面(こわもて)のシベリアンハスキーの犬である。あいつは人間の中の“痴漢”という種族の前足を喰い千切ったという伝説が有るらしい。
「そ、そそそんな最強じゃないですかっ!」
慌ててそを何回も言う私にんーと唸りながら考えてにっこりと言う。
「間違えた。奴は中ボスだった。」
中ボスゥゥッ?!何その強過ぎず弱過ぎずの微妙な位置…何てお方だ…御猫様…。
「まぁ、どっちにしろ倒しに行くが。」
えぇぇっ!?どんだけ貴方強いんですかっ!?
心のツッコミはなおも続く。
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